インデックス投資は経済ニュースを見なくて良い?
今回のテーマはインデックス投資は経済ニュースを見なくてもいいという誤解5選というテーマで解説をしていきたいと思います。
よくある意見で『インフルエンサーやYouTuber、ブロガー、FP、投資コラムニストなどは、いろいろな経済ニュースについて解説するものの、いつも結論は同じです。インデックス投資は何があってもコツコツいつも通りの投資を続けましょう。こんな感じで投資行動に影響を与えないなら、経済ニュースはただの雑音に過ぎない気がします。時々ツイッターなどでも見かけるように、投資成績のいい人は亡くなっている人、それから運用してるのを忘れている人など、何もしていない人とさえ言われています。であれば、インデックス投資家は投資について勉強したり、経済ニュースを追いかけたりっていう必要はほとんどないのではないでしょうか?投資に時間をかけず、別なことに時間を使う方が人生有意義だと思います。』というのがあります。
これについての回答は、インデックス投資家も投資の勉強を続けるべき経済ニュースをしっかり見るべきですね。理由は、ファンドの握力が強くなるからです。投資で言う握力というのは、保有する資産を握り続ける力のことです。つまりパニックなどをせずじっくり長期で持ち続ける力のことですね。握力の高い人は投資リターンが圧倒的にいいことが多いですね。ということで今回は、インデックス投資家でも経済ニュースを見るべき5つの理由について解説します。
もしあなたが亡くなっている人や運用を忘れている人になりたいのだとしたら、逆にこの2点お聞きします。亡くなった後にどんどんお金が増えていくのは嬉しいですか。それから運用していることを忘れてしまっているなら、いつ取り崩して使うのですか、数十年後思い出したときに使うというのは、幸せな良いお金の使い方ですか?ですね、ここを目指せっていう話とは違いますよね。
投資に時間を使いすぎない方が人生有意義になるっていうのは同感です。ただそれも程度の問題ですね、投資の勉強ゼロ、経済ニュースゼロはやりすぎ。一方、毎日投資の勉強して、経済ニュースを分刻みで追いかけるのもやり過ぎ、0か100か黒か白か、極端にしないでバランスよくいきましょう。
それでは本題に入ります。
人類の経済が成長していることを確認できる
インデックス投資というのは人類の経済成長に乗っかる投資です。投資先を選ばず、投資タイミングを選ばず、経済全体で見たら、30年後は今より成長してるでしょ、そういう感覚で市場全体に投資します。経済ニュースを見ると、この前提を確認することができます経済って成長してるんだな、こういう感覚を持ってるってことです。この感覚がインデックスファンドの握力を強くしてくれるんですね。
例えばGDPに関するニュース、GDPというのは国の経済規模を測る最もシンプルな指標の一つです。トップ10はどこの国も伸びています。これぞまさに経済が成長している証拠です。株価というのは、短期的には本質的な価値からかなり上下に乖離します。バブルだと思えるほど割高になったり、バーゲンセールだと思えるほど割安になったりって感じです。だから株価だけを見ていると、本質を見誤るんですね。
先ほどのGDPに加えて、企業の業績、売り上げや利益ですね、それから雇用に関する統計、有効求人倍率や失業率、賃金上昇率と、それから物価指数、様々な経済指標を見ることで、人類の経済は成長しているんだってことを確認しましょう。株価は長い目で見れば必ず実力に見合った水準に落ち着きます。もちろん、時には大きな不景気が訪れることもあります。一時的にはGDPも企業業績も悪化するタイミングがあるってことです。とはいえそういう不景気を何度も乗り越えてきたのが人類です。国の偉い人たちがどうやってその難局を乗り切るのか、ピンチの中で生まれる新たな産業は何なのか、そういったことに目を向けて人類のしぶとさを確認する姿勢が大事ですね。
不景気が来ても乗り越えられるなら、インデックス投資は何が来たら終わるんだ、こう思う人もいるかもしれません。僕としてはこう答えます。資本主義の終わりが来たら、インデックス投資も終わりです。株式会社という仕組みが終わったり、個人財産の所有が認められなくなったり、そんな世の中になったらさすがにホールドし続ける意味はないでしょう。この場合、インデックス投資どころか、不動産投資等も含め、いろいろとありますね。ちなみに、歴史的に見て、世界で最も偉大な文明も、その平均寿命は200年だそうです。
その200年間にどの国も同じ変遷をたどっています。まず抑圧されているものが目覚める、目覚めた者が勇気を持つ。勇気を持ったものが、権力者を打倒する権力者を打倒したものが新しい権力の座につく、権力の座についたものが裕福になる、裕福になったものが現状維持を望む現状維持を望む者が弱い者を抑圧する、抑圧されているものが目覚める、つまり最初に戻るってことですね。これを繰り返すそうです。
貧富の格差が広がり続け、裕福な者がそのお金の使い方を間違えれば、いつか資本主義は終わるでしょう。そういう意味では、経済だけではなく、政治にも関心を持つとか、自分自身の問題としてお金の稼ぎ方、使い方について考える、こういったことも重要になってきますね。経済ニュースを見て、社会構造の変化にも目を配りつつ、今日も明日もインデックスファンドを握り続けていきましょう。
値動きに慣れることができる
経済ニュースを見続けていると、どんなことが起きると、どれぐらい株価が動くのか。段々とイメージ感覚がつかめるようになってきます。この感覚がファンドの握力に大きく影響します。多分江戸時代からタイムスリップしてきた人をスペースマウンテンに乗せたら発狂すると思うんですよ。真っ暗闇の中を猛スピードで急上昇したりとか、急旋回したり、何も知らない人には刺激が強すぎですよね。
一方でそれに慣れてしまった人はどれだけ振り回されてもどうせ安全だってことはわかってるし、他のジェットコースターに乗ってもどうせあんなもんだろうって予想もつきます。結局内容がわかっていて経験もあるなら、うろたえることもないんですね。経済ニュースを追いかけているうちに、株価はどんなニュースに反応するか、そのニュースでどれぐらい株価が動くか、動いた株価が半年後、1年後にどうなっているか、こういった経験値が蓄積されていきます。そして段々と気づいていくわけです。なんやかんや長いことほっておけば、株価は伸びていく傾向にあることですね。
もちろん個別株の場合はこの限りではありません。それから短期的な株価変動のなんともいい加減なこと、最近までこの株だけ持っていれば、お金持ちになれるって言われていたかと思えば、数ヶ月も経つと何々の時代は終わったなんて真顔で語られるようになります。投資の神様ウォーレンバフェットが市場の情緒不安定さはもう治療不可能って言いたくなる気持ちもわかりますね。市場は情緒不安定でもいいですが、みなさんが情緒不安定になってはいけません。
バフェットはこう言います。あなたは市場を無視しても利用しても構いません。しかし、影響されると悲惨な目に遭うことになります。無視するも利用するもよし、だけど闇雲に影響されることは絶対に駄目なんですね。それでは市場のカモにされるだけだからです。経済ニュースを見て、株価を見て値動きになりましょう。そして1年2年と無視を続けてみてください。段々と何が起きても動じなくなっていくはずです。こうした積み重ねがないとドカンと大きなことが起きたときにパニックに繋がります。長期投資を成功に導いてくれるのは、鍛えられた鋼の投資メンタルだけです。
自分が投資しているものに対する理解が深まる
例えば日経新聞等の経済誌を読んでると、こんなニュースを目にしますトヨタ世界販売台数1位、売り上げ過去最高とか、アップルiPhone売り上げ好調で過去最高益とか、アマゾン過去何年で株価が何倍に、こういうニュースですね。普通こういうニュースって他人事ですよね。でも、インデックスファンドに投資している人にとっては自分ごとになるんですね。なぜなら、eMAXISSlim全世界株、オールカントリーとか、eMAXISSlim米国株式S&P500、こういった幅広く分散されたインデックスファンドの投資先には、先ほど言ったような有名企業が含まれているからです。
GAFAが最高益を更新したなら、自分はそういう企業インデックスを通じて買っている三菱商事がエネルギー開発事業に巨額の投資をしながら、自分もこういう事業にインデックスを通じて投資をしている。ファイザーが新しい医薬品を開発したなら、自分はそういうものの開発にインデックスを通じて投資しているというイメージですね。普通であれば、自分には関係ないなとか、儲けてるところもあるんだな、羨ましいなとか、うちの会社とは大違いだってなってしまいそうな話ですよね。
でも資本主義社会で一番力を持っているのは株主です。インデックスファンドを通じて皆さんは会社のオーナーになっています。こういった儲けのニュースの利益配分を受けられる立場にいるんですね。経済ニュースを見ていれば、それが少しずつ実感できるようになります。インデックス投資は個別株と比べると実感のわきにくい投資です。3000社、4000社っていった投資先をまるっと買ってしまうので、個別の姿がいまいち見えにくいんですね。だからいまいち自分が何に投資しているのか理解できていない人も多いです。結果的に株価が上がっているうちはイケイケドヤ顔で持っていられるけど、株価が下がりだすと不安になってすぐに売ってしまう、こういうことになりがちなわけですねこれを聞くと、そうは言ってもさ、儲かってないっていうニュースもあるじゃん、それに儲けてもインデックスに含まれていない小さな企業だってあるし。って感じる人もいるかもしれません。
でも大丈夫です。優良なインデックスファンドは影響力が小さくなってきた衰退企業は除外されて影響力が増した成長企業は新たに組み入れられる、こういう仕組みになっています。衰退し続ける会社に関するニュースを見たら、優良なインデックスファンドはこういうのを除外してくれる、自動でメンテナンスしてくれるなんて楽でいいなって思えばいいだけのことです。そして急成長する新興企業期待の星に関するニュースを見たら、優良なインデックスファンドはそのうちこういうのも追加してくれるんだよね、自動でメンテナンスしてくれるなんて楽でいいなって思えばいいだけのことです。
成長する日を見守るエースのごとく、その新興企業が指数に組み入れられる日を待ちましょう。実際世界を変えるような新興企業は例外なく組み入れられてますね。経済ニュースをちゃんと見ていれば、自分は儲かっている大企業事業のオーナーだと自覚できます。自分は衰退する企業に投資し続けるような投資家ではないと自覚できます。自分は急成長する新興企業も取りこぼさない投資家と自覚できます。株価だけしか見ないような投資初心者から卒業できるってことです。インデックスファンドの握力が高まっていくのも当然ってわけですね。
相場を読めている人などいないことがわかる
経済誌や経済ニュースを見ていると、いろんな予想を目にします。何々総研所属のエコノミストとか、何々証券所属の証券アナリストとか、有名投資家の何々さん、投資銀行のストラテジスト、大学教授、企業経営者など、とにかくいろんな人がいろんな予想していますね。投資経験が浅い人にありがちなのが、何かすごそうな人についていこうってすることです。その人が未来の株価を当てられる水晶玉を持っているように見えちゃうんですね。
でもそんなことありません。信じられないほど優秀な経歴を持った人たちが信じられないほどそれぞれ異なる未来を予想してるんですよ。この事実自体が未来を知っている人は誰もいないことの証拠とも言えますね。実際一度や二度ならまだしも、予想を当て続けている人なんて皆無です。株雑誌の年始企画にお約束のものがありますね。年末株価予想日経平均は何万円まで上がるもしくは下がるみたいなやつです。あれ、1年経った年末にどれぐらい当たってるか検証したことある人いますか。
恐ろしいほど当たってないですよ。株価に限らず、ゴールドの価格原油の価格不動産の価格などもそうです。みんなそれらしいことを言ってますが当たりません。経済ニュースを見ていると段々とわかってきます誰も未来はわからないんだな、これがわかってくるんですね。だからこそ、インデックス投資が光るわけです。個別銘柄の選定はしない、新陳代謝は自動で行われる、投資タイミングは読まない。
30年先から見れば、今の株価は割安、長期投資家の友達はカリスマ投資家ではありません。長期投資家の友達は時間です。勉強すればするほど、この現実に対する理解がどんどん深まってくるはずです。勉強不足の人はいつもどこかに当て続けられる人がいると信じています。当て続けられる人についていけば、一儲けできると信じています。でもそれは大きな勘違いです。この現実に気づくには、自らの頭で汗をかいて勉強し続けるしかありません。でも、流した汗は無駄にならないですね。ちゃんと勉強してきた人は、他の人がガチャガチャと振り回される中、どしっと腰を据えて安定した投資ができるようになります。大きなリターンを手にできるのは、こうやって自らの握力を鍛えた人ですね。
投資商品のリターンの相場がわかる
経済ニュースを見続けていると、こんなことに気がつくはずです。年利10%超の成長力を保ち続けている企業アセットなんてほとんどない、資産の成長率はせいぜい数%が相場なんだな、こういうことに気づいてくるはずなんですね。72の法則っていうものがあります。これはお金が2倍になる期間が簡単にわかる便利な算式です。72÷金利=お金が2倍になる期間です。例えば利回りが3%ならば72÷3=24なので、24年で2倍になるってことです。
経済ニュースを見ていると、何々企業の売り上げが前期比20%増とか、原油価格が前期比8%増とか、GDPが前期比5%増とか、リート市場が好調で前期比12%増とか、いろいろな数字を目にします。もしこういった数字を目にしたら、ぜひ72の法則を思い出してください。その利回りであれば、その成長が続くのが現実的かどうか、イメージが湧くはずです。もし前期比プラス30%の成長が続いたらどうなるのか、72÷30は2.4たった2.4年で2倍になるってことです。どうでしょう皆さん、そんなことありますかね、ありえたとして、それがずっと続きますかね。2.4年で2倍になるということは10年で16倍になるってことです。近いうちに月にでも届きそうな勢いですよね。
経済ニュースを見ていれば、いろいろな数字の相場がわかってきます。株価のリターン、ゴールドや原油価格などのリターン、企業業績の成長率、GDPの成長率、短期的には10数%から数十%と大きな動きを見せることがあっても、景気サイクルを経て、平均的には数%台に落ち着いていきます。こういった相場観が身につくと、詐欺商品に騙されることがなくなりますね。ポンジスキームや新しい投資に騙されるのはいつも相場を知らない人たちです。もちろん最高のタイミングで最高の投資先に投資すれば、相場以上のリターンを上げることは可能です。でも、それは本当に難しいことです。
一方インデックス投資であれば、今まともなインデックスファンドに投資するだけで、明日から市場平均的な相場通りのリターンを得ることができます。日々めまぐるしく変わる経済ニュースを見ていれば、インデックス投資の再現性の高さを魅力に感じるようになるはずです。日々勉強を続けて、いろいろなビジネス、資産価格の相場を知る中で、インデックス投資の安定性、再現性が悪くないなって思えたのなら、それはもう間違いなく投資初心者を卒業していると言えますね。その時皆さんの握力はリンゴを砕けるレベルになっているでしょう。この握力がインデックスファンドに大きな含み益をもたらします。
まとめ
ここまでの話をまとめましょう。なぜ経済ニュースを見た方がいいのか、それは自分が何をしているのかを知るためです。自分が何をしているのかわかれば握力が強まります。握力が強くなれば、悲劇的なことが起きたときにやってはいけないことをやらなくて済む。長期にわたりやるべきことがやれるようになる、市場経済のオーナーとして利益を享受し続けられるってわけです。積み上げた知識、経験は子供にも遺伝しますね。パパ、何でインデックスファンドを買ってるのって言われたときに、経済や投資の仕組みを子供に伝えられます。
大変、株価が暴落してるよって言われたときに、全く慌てる必要がないことを伝えられます。パパ、このゲーム面白いでしょって言われたときに、そのゲームを作った会社、パパも投資してるんだよって伝えられます。お母さん、絶対これに投資した方がいいよ、あの人がすすめてるんだよって言われたときに、未来を読める人などいないことを伝えられます。お父さん、僕は働かないでトレーダーとして食べていくよ、こう言われたときに現実を伝えることができます。
勉強してきた人、ニュースを見てきた人だからこそ、自分の頭で考えて自分の経験から語れるわけです。ここで伝えたことが、金融リテラシーとして子供に遺伝するんですね。子供は親の背中を見て学びます。どう勉強してどうニュースを見てどう家計管理しているか見せること、これそのものが金融教育なんですね。なんでインデックス投資がいいの?子供にこう聞かれたときにわからない。俺たちは雰囲気でインデックス投資をやっている。これ子供に見せたい姿ですか、違いますよね。相場がうちはいいかもしれませんが、1年値下がりが続いたら、狼狽売りしてしまうのがオチでしょ。
自分が何をやっているかわかること、これが何よりも重要なことです。かといって完全にわかってからスタートするのは遅いです。わかる前から全力もおかしいです。スモールスタートさせて、そしてゆっくりと育てていく、そのためには日々の地道な積み重ねが大切ってことですね。経済ニュースを眺めながら、理論と実践で金融リテラシーを高めていきましょう。以上、僕がインデックス投資をやるなら一切勉強しなくていいとは思わない考える理由について解説しました。皆さん自身がどう判断するか、もちろん皆さんに委ねます。何か少しでも参考になるところがあれば幸いです。
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