2023年に絶対にやってはいけない投資
今回のテーマは2023年に絶対やってはいけない投資7選です。報酬は価値の上下があるものです。おすすめしているS&P500ももちろん上がったり下がったりします。それでもS&P500連動商品への投資をおすすめしているのは20年コツコツ続ければ資産が増える可能性が高いからです。
しかし投資商品の中には価値が増えるとは考えにくいものもたくさんあります。そして残念ながらそのような商品にお金を投入してしまう人が後を絶ちません。
今回は皆さんに手を出して欲しくない投資商品をご紹介します。さっそく解説していきます。
①新築ワンルームマンション投資
新築マンションの一室を保有し、賃貸に出して家賃収入を得る不動産投資の一種です。一部屋から所有できるので価格的にも購入しやすいです。また、不動産管理会社に管理を任せられます。楽に不動産投資ができるように見えますね。
新築ワンルームマンション投資を勧誘する広告には節税効果をうたうものがあります。これは間違いではありません。購入初年度は登記費用や不動産取得税を支払うことで利用形状が大きくなります。結果、不動産所得がマイナスになります。
自身の給与所得との損益通算で所得税還付および住民税を下げることができます。しかしながら資産運用に向いていない特徴があります。
まず、結果的に毎月費用の方が多くなることです。新築ワンルームマンション投資の毎月の収支0は大抵収入よりも支出の方が多いです。さらに、固定資産税都市計画税も発生します。結果として毎月1万円の手出しでは済まなくなります。実は収入に対して支出が多い投資だということです。
収入より出ていくお金の方が多いわけですから。わかりませんよね。節税効果を謳う新築ワンルームマンション投資は何か裏があると思った方がいいでしょう。
投資である以上、出口を考慮するでしょう。しかし、売却時にも困難を伴うことが多いです。新築ワンルームマンションの価格は高めに売られています。新築物件には開発業者の利益が上乗せされているからです。新築プレミアとも言われますね。
しかしそれは購入した瞬間にすぐなくなります。ですから買ったらすぐに物件価格は大きく下がります。そのため売却を検討したときに残っているローン以上で売却価格を設定することが難しいです。ゆえに、売れない状態となります。
概して専有面積は小さめで、自分が住むにも都合がよくない物件も少なくないです。買ってくれる相手がいない限り売却できないのが不動産です。マーケットで取引できる金融商品とは違います。資産形成期に無理にお金を投じる必要はありません。
この10年は市況が良かったので目立ちませんでした。しかし基本的にはスペックと利回り面から厳しい投資になりがちなのが新築ワンルーム投資です。中古でも相場感のない人がいきなり買うのはハイリスクですね。
②ポンジスキームといえる私募ファンド
それは何と思われた方のために少し噛み砕きます。スキームは仕組みと理解すればいいでしょう。ポンジは人の名前です。米国の詐欺師チャールズポンジから名付けられた言葉です。
ポンジは次のような仕組みです。
1.元本保証無リスクを謳い、年10%20%など高利回りの投資案件で、出資者からお金を集める
2.運用するという建前で実際には運用しない
3.後から参加する別の出資者から集めたお金の一部を着服する
4.残ったお金を、以前の出資者に配当金と偽って横流しする
出資者が増えているうちは実際に配当がもらえるため信用してしまうパターンも多いです。しかし、出資者が少なくなると配当が滞り、やがて破綻します。破綻すれば出資者のお金は戻ってきません。
多くの場合詐欺師は音信不通になるため、泣き寝入りするケースも後を絶ちません。そういうの聞いたことあるという方もいらっしゃるかと思います。私募ファンドは少数の投資家や富裕層などを対象にお金を集めて資産運用を行うものです。
私募の対義語は公募です。例えば、eMAXISSlimシリーズは、公募投資信託です。不特定多数の人が取引することを前提にしているので、金融庁等の規制が多いです。ですから、目論見書等にはしっかりリスク等が記載されます。そして、誰でもそれを読むことができます。容易に悪いことができないようになっているのです。
一方、私募ファンドは限られた人にしか情報が公開されません。よって人目にさらされにくいところでポンジスキームがまかり通ってしまいがちです。絶対儲かるものなどありません。リスク担保保証で年利10%という商品はありません。
必ず儲かる、元本保証です、などと言われたら詐欺を伺いましょう。美味しい話には必ず裏があります。また知らない人から投資話を持ちかけられたらまず怪しいと思いましょう。
そんなに儲かる投資ならばわざわざ皆さんに教える必要がないからです。投資の勉強会という形で人を募集し、実態は怪しい投資商品を売りつけるためのグループだったということもあります。
このような勧誘ははっきり断ってください。友達でも躊躇してはいけません。むしろ友達には『それ何かおかしいと思う』と伝えましょう。
③裏付けのない未上場株への投資
IPOという言葉を聞いたことがあるでしょうか?株式を未公開の企業がマーケットに新規上場することです。
IPOは常時値を上げることが多いです。ですから、個人投資家にも人気がある株式投資の一つです。この人気につけこむ投資話がまことしやかに持ち込まれることがあるのです。
何の裏付けもないのに実はこのような例は後を絶たないようで金融庁が注意喚起しています。金融サービス利用相談室等にこのような相談が増えているそうです。
・上場間近
・値上がり確実
・発行会社との強いコネにより入手
・あなただけに特別に譲渡します
などと言って未公開株の購入をすすめられます。
しかし、購入したら、発行会社に問い合わせると上場の予定はないと言われた株券が届かないという事例です。日本の場合、未公開株の販売にはルールがあります。未公開株を取り扱うことができるのは、その未公開株の発行会社へ登録を受けた証券会社に限られます。
証券会社ではグリーンシート銘柄という一部の例外を除き、未公開株の勧誘は原則として禁止されています。日本証券業協会の自主ルールによるものです。裏を返すと特定の人しかできない投資はそもそも上級者向けです。
資産運用に慣れない段階で手を出す必要はありません。なお、金融庁は未公開株等被害に遭わないためのガイドブックを誰でも読めるように公開しています。一度目を通しておくと良いでしょう。
④レバレッジを使った商品への投資
レバレッジという言葉はなじみ深くした商品がレバナスでした。ナスダック100という株価指数の2倍の動きになるように設計された投資信託です。
ナスダック100指数は2021年に大きく上昇しました。2倍の値動きをするレバナスも基準価格が大きく上昇しました。純資産も増えました。
しかし、2022年は2021年とは逆の値動きになりました。現指数が下落すれば基準価格が2倍下がるように設計されているのもレバナスです。さらに、2022年の米国金利の上昇もレバナスには逆風でした。レバナスはナスダック100指数の先物を使います。
この先物価格は米ドルの短期金利の影響を色濃く受けます。一言で言えば短期金利の上昇は、レバナスにはマイナス寄与します。2022年はリバランスにとって非常に厳しい環境でした。
レバレッジ商品を完全に否定はしません。上手に使えば資産の増加に大きな援軍になります。ナスダック100は2021年秋に付けた高値から30%以上下落しています。そろそろ反転してくるかもしれません。金利も2023年は下落するかもしれません。
このような前提に立っていれば夏には追い風が吹くかもしれません。しかし、低迷すると予想する人もたくさんいます。マイクロソフトやアマゾンなどの大手企業が大規模なリストラを発表しています。それはまだ始まったばかりかもしれません。
であれば指数の回復はもっと先になるかも知れません。つまり、2023年の株式市場は大きく上に行く可能性もその逆もあります。ボラティリティが高いマーケットになりそうだということです。
上にも下にも2倍の動きをするようなレバレッジ商品は、より値動きが激しくなるかもしれません。このような性格を持つ商品は長期投資には向いていません。そもそもレバレッジを使った商品は資産形成のベテラン向けだと考えています。
個人投資家にも有名になったのでレバナスを例に用いましたが、レバナスに限った話ではありません。資産形成期に無理は禁物です。無理に手を出さなくていいでしょう。
⑤テーマ型投資信託への投資
テーマ型投資信託とは特定の投資テーマや関連した業界や企業に投資するためのものです。
例えばAIであるとか、デジタルトランスフォーメーションがテーマの例です。実はこういうタイプの投資信託は昔からありました。ところが過去の実績を見ると、こうした投資信託の多くはリターンが芳しくありません。テーマ型投資信託はジャンルを変え、今でも売り出されています。
しかし、長い期間にわたって、基準価格が上がり続けたというものはほとんどありません。つまり、そのほとんどは失敗に終わっているのです。
一つ例を見てみましょう。デジタルトランスフォーメーションのテーマ型ファンドのものです。世界のデジタルトランスフォーメーション関連企業の株式を実質的な投資対象とし、中長期的な成長を図ることを目指して運用を行うと信託です。
2020年9月に設定されました2020年3月のコロナショックの後、人々の行動に非接触が要求されました。デジタルトランスフォーメーションは非接触の規模でもあります。設定時の世界の状況を反映した投資信託と言えます。
設定後しばしは順調でした。しかし設定時に1万円でスタートした基準価格は9000円程度になっています。設定されてからまだ2年半くらい経過していません。テーマ型投資信託はいわゆるアクティブ型運用です。独自の運用方針に基づいて運用するものです。
広い選択肢から銘柄を選択して運用し、S&P500のようなインデックスのリターンを上回ることを目指しています。選ぶ対象が広いほど良い銘柄を発掘できる可能性が高くなります。
しかし、テーマ型投資信託はそもそも選ぶ対象を最初から絞り込んでしまっています。アクティブ運用としてのスタートがそもそも違うのです。走り幅跳びで助走距離を短くてしまっているようなものです。助走が短い走幅跳や無理ですよね。
ところがテーマ型投資信託はわかりやすい、売りやすいという特徴も持っています。AIやデジタルトランスフォーメーションなどは普段から見聞きすることが多いです。なんとなく知ってるから、今流行りなんだなと思ってつい購入する人が多いのでしょう。
しかし、よく考えてみましょう。一般のニュースや話題で取り上げられているということはどういうことでしょうか?既に株式市場でも相当関心が高まっているということです。ですから関連企業の株価も既に上がってしまっていることが多いです。
つまり、高い値段で買ってしまいがちなのがテーマ型投資信託、まさに買ったら損です。さらに、アクティブ型投資信託はインデックス連動型に比べると、信託報酬等のコストが高めです。アクティブ型の一つであるテーマ型投資も例外ではありません。
2023年も新たなテーマ型投資信託が設定されるはずです。見慣れたテーマほど投資しない方がいいでしょう。
⑥暗号資産
使い方次第ですが、初心者さんは避けた方が良いという意味で取り上げます。実際にビットコインで富裕層入りした人を何人も知っています。実際、私も売買はします。
しかし、誰にでもおすすめできるか、コア資産にできるかというと躊躇しますので、そういう意味で取り上げます。
代表的な暗号資産にはビットコインやイーサリアムがあります。日本銀行によれば暗号資産はインターネット上でやり取りできる財産的価値を持つものです。
資金決済に関する法律において、
・不特定の者に対して代金の支払い等に利用できる
・日本円や米ドルなどの法定通貨と相互に交換できる
・電子的に記録され、移転できる
・法定通貨またはプリペイドカードなどの法定通貨建ての資産ではない
という性質を持つものと定義されています。
ビットコインは2021年11月は6万5000ドルあたりの高い水準でした。それから1万6000ドルを割り込む水準まで下落しました。その値動きの激しさは4つ目でご紹介したレバナス以上です。この値動きになれない方ならば、ちょっと下がっただけで不安になり、すぐ損失確定してしまうかもしれません。
一方で動きの波を上手に使って資産を築いた方もいます。知り合いでも何名かその爆発力でFIREしましたね。その荒波にうまく乗れる人のみが使いこなせるアセットということです。
暗号資産は今回その中央銀行によって発行された法定通貨ではありません。持っているだけでは金利はつきません。また、ゴールドなどのような裏付け資産もありません。既に存在している他の投資商品とは性格が違います。
誰でも付き合いやすい投資商品とは言い難いということを知っていただきたいです。
⑦債券ETFなどをショートすること
ショートとは売ることです。ちなみに買うことはロングといいます。2022年は米国の金利が急上昇した年でした。レバナスのところでもお話しましたね。
金利が上昇すると価格が下がるものがあります。債券です。2022年は債券価格がどんどん下がっていったわけです。米国の金利上昇はインフレ抑制が目的です。物価の上昇を抑えたいということです。
そのインフレはそろそろ落ち着きそうな気配を示しています。生産者物価指数のPPIとは米国でインフレ動向の推移を判断するために用いられることが多いものです。2022年秋以降は右肩下がりの傾向が続いています。
金利を引き上げることで期待される物価の抑制には効果が出始めています。今後は金利の引き上げを徐々に幅を小さくしていくことが予想されます。そして、いずれ金利は高止まりし、場合によっては引き下げます。
債券価格は金利が上昇すれば下がります。金利が引き下げられれば上がります。利回りが4%のときに購入した債券は、利回りが3%になったときに価格が上昇しています。つまり2022年から引き上げられた金利がそろそろピークであるならば、債券価格が今後上昇すると見込まれます。
今後上昇すると見込まれる債権を売るのは合理的ではないということです。また、売りポジションを抱えたままだとどんどん含み損が増えていくことになります。債券投資をするなら、2023年はショートは禁物です。
まとめ
2023年にやってはいけない投資を7つをまとめました。
①新築ワンルームマンション投資:多くの場合キャッシュフローがプラスになりにくいです。手放すときも売りづらくなることが多いです。
②ポンジスキームともいえる私募ファンド:年利10%確実なるという商品はありませんね。
③裏付けのない未公開株投資:被害が後を絶たないようで金融庁も注意喚起しています。
④レバレッジを使った商品:2023年はマーケットのボラティリティが大きくなると考えています。レバレッジを使った商品は動きが上にも下にも大きくなりがちです。長期コツコツ投資には向いていません。
⑤テーマ型投資信託:わかります同様なものが制定されました。しかしどれも短命です。設定されたときには、天井に近いと覚えておきましょう。
⑥暗号資産:最近は取引所が事業をやめる例もありました。心穏やかに資産形成できる商品ではありません。
⑦債券をショートすること:金利の上昇とともに債券価格は下がってきました。そろそろ金利上昇が落ち着いてきそうです。であれば最近あるポジションは今後ビジョンを抱える可能性があります。
これからの投資戦略の参考になりましたでしょうか?
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