FIREの種類と手段
今回のテーマはこちら。FIREの種類と手段4選です。2020年のコロナショック以降、米国株は非常に好調でした。例としてVTIは米国市場全体に投資するETFです。2020年3月のそこから昨年末までは綺麗な右肩上がりのチャートとなっています。
特に過去2年間は米国市場が非常に好調なこともあって、日本ではFIREブームが起こりました。FIREに関する書籍も一気に増えましたね。FIREを達成した方またセミリタイアに関して情報発信されている方がこぞって方出版されました。
リーマンショック後から米国株市場が好調だったことがFIREブームの大きな要因といえるでしょう。そんな中、FIREにも様々な種類が生まれました。FIREと言っても現在では15種類以上に分類されるという見方もあります。
今回はその中でも日本でもよく知られているメジャーな4種に絞ってお話します。ご自身に合ったFIREの種類はどれなのか、どのような手段でFIREを目指すのが良いのかわかります。
早速解説していきます。
FIREとは何か?
FIREとは「Financial Independence Retire Early」の頭文字をとった造語です。意味としては経済的に自立し、早期退職するということです。
FIREをするためには以下の方法で資産形成を図るのがよく知られている方法です。
①:節約により支出を抑える
②:転職や副業により入金力を上げる
③:①と②で得たお金を、S&P500インデックスなどへの米国ETFへ投資し、複利の力で資産を増やす
この方法ですね。例えばFIREするために資産5000万円作ることを目標にしたとします。すると毎年運用利回りを5%、初期投資ゼロの場合、毎月6万円を30年にわたって運用すれば5000万円作れる計算です。
さらに、投資額を増やし、毎月倍の12万円とすれば20年でFIRE達成となります。もっと増やして19万円を投資に回せば15年で5000万円を作れます。
このようにして作った資産を毎年4%ずつ取り崩します。それを生活費に充てても資産は減らない、これが4%ルールと呼ばれる資産取り崩す方法です。はい界隈ではよく知られた王道の方法ですね。
4種類のFIRE
続いてメジャーな4種のFIREについて紹介します。FIREは大きく分けて次の四つに分類されます。
・Coast FIRE
・Fat FIRE
・Barista FIRE
・Lean FIRE
この4つです。それぞれ解説します。
Coast FIRE
CoastFIREはFIRE資金が多いけど好きなことで働くタイプです。資産規模は大きく、十分アーリーリタイアできます。しかし、引退はせず、仕事やボランティア的な業務に従事します。
いわゆる食べるため、生きるための仕事を一切しなくていい状態を目指したFIREです。
Fat FIRE
続いてFat FIREは悠々自適タイプのFIREです。Coast FIREと同じく資産規模は大きいのが特徴です。Fat FIREする人は残りの人生は遊んで暮らせるほどのFIRE資産があります。
配当や賃貸収入などの不労所得があるので副業や節約などの努力も不要です。Fat FIREはまさに皆が憧れる理想のFIREかもしれません。
Barista FIRE
別名サイドFIREとも呼ばれるこのFIRE。FIRE後も副業やアルバイトで収入を得る、いわゆるセミリタイアのような生活を送ります。Barista FIREの特徴としては必要なFIRE資金がFat FIREと比べて少なくて済むことです。
Fat FIREに必要な資金が1億円以上だとすると、Barista FIREに必要とされる目標資金は5000万円ほどと言われています。もちろん人によって異なりますが、あくまでも目安ですね。
最近日本で若者を中心に人気なのがこのBarista FIREです。必要な資金が比較的少なくて済む、会社勤めのストレスから解放されて好きな仕事で生きていける、こういった理由でBarista FIREを目指す若者が増えています。
Lean FIRE
最後のFIREは、Lean FIREです。自分が価値があると感じる最低限のものだけにお金を使い生活を送る方法です。端的にいえば無駄なものにはお金を使わないということです。
最近ミニマリストという言葉が流行りましたね。『僕たちにもう物は必要ない』というタイトルの本でもミニマリスト的生き方が紹介されています。国内で16万部を超えるベストセラー、海外24カ国語に翻訳されている。ミニマルライフと我慢を伴う節約ではなくて、お気に入りのものだけに囲まれて生活をするという考え方です。
最近はますます多くの人に支持されている生活スタイルとなっていますね。
FIREの手段4選
ここまでは4種のFIREについてご紹介しました。次はFIREの手段4000ということでお話します。FIREの種類と同じようにFIRE手段も多種多様です。
日本でFIRE達成された方のFIRE達成方法をまとめると、今後も再現性の高いと思われる方法は下記の4つです。
①米国株や米国ETFに投資してFIRE
②高配当株投資でFIRE
③不動産投資によりFIRE
④副業でFIRE
では順に解説します。
①米国株や米国ETFに投資してFIRE
まず一つ目は米国株や米国ETFに投資する方法です。FIRE達成後、労働などにより収入を得ないとすると多額のFIRE資金が必要になります。これは先ほど紹介したFat FIREと呼ばれるFIREのことですね。
例えば月間支出40万円の子持ち夫婦が完全FIREする場合、年間支出は12ヶ月分の480万円と仮定します。FIRE必要額はその年間支出額480万円に25掛けることで算出できます。480万円の25倍は1億2000万円となります。
完全FIREするのに1億円以上も必要なの。そんな大金作るなんて無理。このような声が聞こえてきそうですね、確かに1億円を超える金額を作るというのは、多くの方にとって現実的ではないかもしれません。
しかし完全FIREを目指すにはこれぐらいの金額が必要になるケースがあるということです。ではどのように1億円を超えるFIRE資金をつくるのか、それにはまず入金力を高める、そして優良な米国個別株やETFに毎年多くの金額を投資する、このようなやり方になります。
例えば初期投資として700万円、毎月25万円を20年間、年利5%で運用したとします。このシミュレーションでは20年後に1億2000万円を作ることができます。年利5%の投資商品としては全米企業に丸ごとするVTIやS&P500インデックスのVOOなどが良いでしょう。
VTIとVOOの過去のパフォーマンスはいずれもほぼ同じ結果です。過去20年の年平均リターンは9%、過去10年だと14%ほどです。過去20年の米国マーケットは非常に好調でした。今後も同じようなパフォーマンスが期待できるとは考えない方が無難でしょう。
それでも年平均4%から5%ぐらいは期待できるのではないかと考えています。ただし、1億円以上の資金を作ろうと思うと、年率5%のリターンでは物足りないと思われるかもしれません。
しかし、優良な米国インデックス投資は、個別株に比べて分散効果によりリスクが抑えられる、また再現性の高い方法です。ただデメリットとしてはある程度の元手と、毎月多くの金額を投資する必要がある多くの入金力と貯蓄率を高めるために倹約も必要になることがある。このことは覚えておいて良いでしょう。
②高配当株投資でFIRE
続いて二つ目のFIRE達成方法は、高配当株投資によるFIREです。高配当株投資とは、一般的に高配当株や連続増配株、または高配当ETFへ投資することです。
高配当株は配当利回りが平均より高い企業の株のこと、つまり配当を比較的多めに出す企業の株を指します。連続増配株とは、長期にわたり配当を連続して増やしている企業の株。高配当ETFは高い分配金を出すETFのことです。
高配当株投資によるFIRE達成方法は次のようなやり方です。
①毎月の支出を抑え、給与の大半を高配当株投資へ回す
②配当金、分配金が出たら再投資する。
目標とするFIRE額に到達するまでこの作業を繰り返します。10年や20年といったスパンでFIREを目指すポイントとしては次の二つです。
①貯蓄率や入金力を高める
②優良銘柄へ投資する
まず一つ目のポイントについて貯蓄率は貯蓄額を可処分所得で割った比率のことです。つまり収入から税金や社会保険料を引いた手取り収入に対する預貯金の割合です。
例えば手取り所得500万円の人が毎年50万円を預貯金に回すとします。この方の貯蓄率は50万円割る500万円掛ける100で、貯蓄率は10%となります。FIRE達成された方の中には貯蓄率80%という猛者もいます。これには多くの手取り収入と徹底した支出の無駄を省く倹約力が必要ですね。
貯蓄率が多ければ多いほど多くのお金を投資に回します。結果10年20年といった短い期間でもFIRE達成が可能となります。また入金力とは投資に回すことができるお金の額のことです。一般的には毎月投資ができる資金力ということになります。
この入金力を高めることがFIRE達成の近道と言われます。この入金力を高める方法は転職による年収アップ、副業による収入アップです。倹約は確実に投資資金を増やす方法ですが限界があります。
手取り収入20万円の人が倹約して貯蓄率は10%から20%に高めたとしても、投資金は2万円から4万円に増えるだけです。わずかプラス2万円です。しかし、転職に成功し、月の手取りが20万円から30万円にこの場合、10万円以上も投資に回せる資金が残せます。
副業も+αの収入として5万円10万円と稼ぐことができたら、一気に投資資金は増えますね。このように貯蓄率と入金力が合い達成を加速させる重要な要素です。
続いて、高配当株投資の二つ目のポイント、優良銘柄への投資について、先ほど話した通り、高配当銘柄とは配当や分配を行っている個別株やETFのことです。この高配当分配の原資は企業の純利益です。配当性向という言葉があります。
配当性向とは、会社が事業によって得た利益をどのくらい株主に還元しているかを表す指標です。配当性向が高い会社は株主に多くの利益を還元していると言えます。高ければ良いとは言い切れません。配当性向が高いということは企業が積極的に事業投資に回す資金が少なくなることを意味するからです。
つまり、事業の成長性が低くなるわけですね。配当性向が高い会社は老舗企業や成熟企業が多いです。高配当株投資は成長による値上がり益を狙うのではなく、ある程度決まった資金を配当として得るそのような投資スタイルです。このことは覚えておくと良いですね。
おすすめの高配当株については、『【高配当株投資】おすすめ投資銘柄28選』こちらで詳しく解説しています。興味のある方はチェックしてみてください。
高配当株投資によるFIREは比較的収入が読みやすく計画が立てやすいことがメリットです。また暴落時でも配当金を得られることは安心感にも繋がります。ただし、値上がりを期待しにくいことからFIRE達成にはそれなりの資金力が必要となります。
③不動産投資によりFIRE
次に、三つ目は不動産投資などハードアセットによるFIREですね。不動産投資とは、アパートなどの物件を購入し、定期的な家賃収入を得る投資手法です。
不動産投資のメリットは、
①レバレッジ効果が高い
②安定した長期収入が見込める
③より短期間でFIREができることもある。
この3つです。一つ目のレバレッジ効果が高いことについて、不動産投資にはローンが利用できます。自己資金とローンを組み合わせることで、より大きな収益を生み出すことができます。これがレバレッジ効果ですね。
例えば自己資金1000万円を運用する場合に期待できる収益を考えてます。一つは、自己資金1000万円を株式に投資した場合、もう一つは自己資金1000万円とローン4000万円で5000万円の物件を購入した場合です。
それぞれ運用したケースを比較します。株式投資の場合、仮に3%の利回りとします。1000万円掛ける3%で税引き前に年間約30万円の収益になります。
一方、不動産投資の場合、5000万円で都市部の築浅物件購入、こちらは仮に7.5%前後の利回りとします。ローン金利や固定資産税修繕費などの経費や空室率を聞いて目安で2%から3%ほどの手残りとなります。
物件購入費5000万円×実質の手残りの利回り2%から3%で実際の収入は100~150万円、ざっくりですがレバレッジ効果で手出しに対してより多くの収入を見込めます。
しかし、株式と同じく振れ幅がありますから、あくまで考え方としてご理解ください。このように不動産投資においては融資によるレバレッジ効果が確認できます。そのため、資産を増やす効率はアップすることがわかります。
株式投資でもレバレッジをかけた信用取引は可能です。しかし、価格変動リスクが非常に高いため初心者さんにおすすめできる方法ではありません。
不動産投資二つ目のメリットは安定した長期収入が見込める点です。家賃は株などの金融商品と比較すると経済変動を受けにくいです。コロナ禍のような経済変動が起こったとしても、家賃や不動産価格が急激に1ヶ月2ヶ月で乱高下することはあまりありません。
一方株は先ほど記載した通り、企業業績や経済情勢に連動して価格が大きく変動します。不動産はもちろん、空室リスクや災害リスクなどがあります。扱う金額も一撃が大きいのでリスク管理がより大事ですね。
不動産投資のメリット三つ目はより短期間でFIRE達成ができることもあるということです。先ほど紹介した一つ目のレバレッジ効果の高さという不動産投資のメリット、これにより、不動産投資の方が株式投資よりも資産形成スピードが速くなる可能性もあります。
目標とする資産額を早く達成すればその分短期間でFIREを実現することが可能となります。不動産投資では、金融機関から借りられる融資額が多ければそれだけ高額の物件を購入することができます。そうするとさらに高いレバレッジ効果を発揮してより大きな収入を得ることができます。
属性年収のサラリーマンの方は銀行融資を利用した不動産投資によるFIREも選択肢の一つとなります。株式投資でも最大で約3.3倍のレバレッジをかけた信用取引が可能ですが、先ほど申し上げた通り価格変動によるリスクがかなり大きくなります。安心安定とは違う投資になりますね。
これに対し、不動産投資はエリアと資金計画さえ間違えなければ、税金も含めてパチッと電卓を弾いて比較的予想が立てやすいです。今はサラリーマン向けの融資が厳しくなっていますが、エリアによる差も大きいですそのようなチャンスがあれば、今もFIREの有力な収入源になりますね。特性を踏まえ、使い分けると良いですね。
④副業でFIRE
最後、四つ目のFIRE達成方法は副業でFIREです。近年YouTubeなど動画配信事業に取り組み月50万円100万円の高収入を獲得、またブログやSNS運用が成功し毎月安定的に100万円の広告収入を得てFIRE。
数は少ないですがこのような方もいらっしゃいますね。これらは難易度が高めで、ある程度の運要素も必要になります。メリットとしてはYouTubeやブログ、SNS運営は初期投資が低め、また隙間時間にできるため会社員でも始めやすい人気の副業です。
成功するにはしっかりとしたノウハウを得る。ずっと続けて情報を発信する継続力などが必須です。このような労働集約的な副業はコツコツ努力できる人には向いています。
副業で収入を得られれば、それを投資の原資にもできます。そうすればFIRE資金を増やすことができるでしょう。拡張性のある職業はFIREを目指す方にとって一つの有効な手段と言えますね。そして副業はFIRE後も続けることができ、相場環境が悪化したときに資産を減らすリスクも軽減できます。
また副業によるFIREのメリットはもう一つあります。それはFIRE資金の必要額を減らせることです。FIRE達成必要額は、年間支出から年間収入を聞いて余った資金の25倍が目安です。年間支出が少なければ、必要額は少なくて済みます。
現在給与の大幅アップは見込めないけど、今の仕事を継続しながらFIREを目指したい、そのような方は副業を生かしたBarista FIREAI(サイドFIRE)が良いでしょう。
ここまでFIRE手段を4つ紹介しました。どれも実現した人がいるFIRE達成方法です。
まとめ
今回のまとめです。4種のFIREと手段4選についてお話をしました。
代表的な4種のFIREとしては、
Coast FIRE:それなりの額のFIRE資金を作り、FIRE後も好きなことをして働き続ける。
Fat FIRE:十分な資金を貯めてFIRE達成後は悠々自適に過ごす。
Barista FIRE:FIRE後も副業やアルバイトで収入を得る、いわゆるセミリタイアのような生活を送る。
Lean FIRE:比較的少ない資金でFIREし、FIRE後はミニマリスト的な生活を送る。
この4種です。また今回はFIREの手段についても紹介しました。日本でFIRE達成された方のFIRE達成方法をまとめると次の4つでした。
①米国株や米国ETFに投資してFIRE
②高配当株投資でFIRE
③不動産投資によりFIRE
④副業でFIRE
これらのFIRE達成方法は今後も再現性が高い方法と思われます。FIREブームは一時的なブームでなく今後も続くことが予想されます。
人生100年時代、リモートワーク環境の充実、年金などの社会保障の不安定化、これらの社会変化によりFIREを目指す人はますます増えるのではないでしょうか?
本日お伝えした4種類のFIREから自分に合ったFIREスタイルを選び、ご自身の属性や入金力、投資方法によってその達成手段を選択することが重要です。FIREは万人が望むものではないかもしれません。
今の仕事は好きだし、定年まで今の職場で働き続けるつまり、自分には何千万という資金をつくるのは難しい。FIREのために今、節約生活するなんて嫌だ、自分の趣味に自由にお金を使いたい、このように考える方もいらっしゃいますよね。
しかし、FIREを目指さなくてもFIREを意識した資産形成を行うことで、少なくとも収入不安のない老後生活を送る足がかりとなる可能性は高いです。その点では、FIREという存在を知り、FIREを意識した資産形成をするのはメリットが多いです。
FIRE資金があれば、たとえ今の仕事が続けられない状態になっても、転職や起業、アーリーリタイアなど様々な選択肢を持つことができます。ある程度の資産があれば心に余裕を持ちながら人生の選択を行うことができるようになります。
FIREを意識した資産形成方法は多くの方にそういう意味ではおすすめといえます。今後もぜひ資産形成を進めていきましょう。これからの投資戦略の参考になりましたでしょうか?
ただ投資ってどうやって始めればいいか分からない、そもそもどうやって勉強すればいいのかわからないって方は、投資の基礎的知識が学べる無料のオンライン講座があるので受けてみると良いと思います。
無料の1時間程度の講座なので自己研鑽としてどうぞ。