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【解説】遺族年金は結局いくらもらえる?

遺族年金について

今回のテーマは生命保険への加入判断の軸にもなる遺族年金について解説をしていきたいと思います。

さっそくですが例えば入社8年目、月収25万円の夫、会社員の方が亡くなってしまった場合、残された30代の妻、子供1人が受け取れる遺族年金は月額いくらになるでしょうか?

正解は月11万円、年額約130万円です。15年受給したら約2000万円になります。これを聞くとそんなにもらえるのって思いますよね。実は遺族厚生年金には、勤続年数が短い状態で亡くなった場合に、25年働いたものとみなして年金額を計算するっていう神ルールがあるんです。こんな感じで知ってそうで意外に知らないことが多いのが遺族年金です。

今回は学校で習わなかった遺族年金の制度のポイントをつかみ、将来のもしもの不安が減って数字で考えられるようになります。そして民間の生命保険見直しに役立つ、月数千円の節約になるかもしれません。保険貧乏になってる家族や友人にもアドバイスができます。まさに義務教育で教えてほしい内容です。さっそく解説していきます。

そもそも遺族年金って何?

遺族年金っていうのは、公的年金、つまり国民年金や厚生年金に加入している人がもらえる年金です。公的年金の話題を出すと、払い損になるとか、年金制度自体が破綻するとかそういう話がたくさん出てきます。でも、そもそも公的年金ってのは保険の一種なんですね。年金っていう言葉ばっかりに目が行きがちなんですが、次の三つの不安に備えるための保険なんですね。

三つとは何かっていうと、
①老齢、歳をとって仕事をしなくなったらどうやって暮らしていこう
②障害、病気や怪我で働けなくなったら生活していけるんだろうか
③死亡、自分にもしものことがあったら残された家族は大丈夫なんだろうか

こういう三つの不安に備えるための保険なんですね、公的年金に加入しておくと老後に年金がもらえるだけじゃなくて、障害を負ったときは死亡してしまったときにも保障があるんですね。公的年金制度は皆年金、つまりみんなが入る制度です。皆さんは民間の生命保険に入る前に既に公的な生命保険、遺族年金に加入しているんですね。いったい民間の生命保険をいくらかければいいのか、これを考える際には、そもそも今の自分にはいくらの保障がかけられているのか、これをしっかり認識しておく必要があるってことですね。

遺族基礎年金とは

遺族年金はざっくり次の2種類で2段構造になっています。一つ目が遺族基礎年金で1階部分、二つ目が遺族厚生年金で2階部分ってイメージです。

遺族基礎年金っていうのは、国民年金に加入してる人が亡くなったときに支給される遺族年金です、農家などの自営業者、フリーランス、会社員、公務員などの遺族がもらえる年金ですね、会社員や公務員の場合にはこれに加えて遺族厚生年金ももらえます。当たり前なんですけど、保険料が未納になっている人。保険料を滞納している人は、残された家族が遺族年金を受給できない可能性があります。保険料納付済み期間免除期間も含むが加入期間の3分の2以上ないとアウトです。

特例として死亡日の前月までに1年滞納がなければOKというルールもあります。基本方針として、未納滞納のダメ、ゼッタイって覚えておきましょう。遺族年金を受給できる人は生計を維持されていた子のある配偶者または子、この2人です。子ってていうのは18歳の年度末、3月31日を経過していない未婚の子のことです。いずれも亡くなった人に養われていたことが前提になります。

遺族基礎年金の受給額はこの通り、年額77万7800円+子の加算、子の加算というのは、2人目までは1人当たり年額22万3800円、3人目以降は1人当たり年額7万4600円。配偶者1人、子1人なら年額約100万円になりますね。15年受け取ったら1500万円なのでそれなりの金額です。

念のため注意点を列挙しておきます。
・遺族基礎年金は、子供のいない配偶者には支給されません。ただし代わりに寡婦年金または死亡一時金を受け取れる可能性があります。
・子供が全員18歳の年度末を過ぎるともらえなくなります。
・生涯受け取れる終身年金ではありません。遺族厚生年金の方は一生もらえます。
・年収が継続して850万円以上ある人は受け取れません。
・配偶者が再婚したり、もしくは結婚している子の場合は受給できません。

これが注意点なりますね。

最後に簡単にざっくりまとめます。遺族基礎年金は未納滞納がなければ、18歳未満の子供、子供のいる配偶者が年額約80万円+子供1人につき約20万円もらえます。本当にざっくりですが、最低限このぐらい覚えておけばOKです。

遺族厚生年金とは

1階部分の遺族基礎年金が終わったところで次に2階部分の遺族厚生年金です。遺族厚生年金というのは、厚生年金に加入している人が亡くなったときに支給される遺族年金です。つまり、会社員や公務員の遺族の方が受け取れる年金です。遺族基礎年金にプラスして払われる上乗せ部分ですね、遺族厚生年金を受給できる人はこの人たちです。

死亡した人に養われていた妻、子、孫、55歳以上の夫、父母、祖父母、この人たちですね。孫っていうのは18歳の年度末、3月31日を経過していない未婚の子や孫のことです。遺族基礎年金との大きな違いは、子供のいない配偶者にも支給されるってことです。遺族基礎年金は子供がいないともらえない、遺族厚生年金は子供がいなくてももらえる、この違いはしっかり認識しておきたいところですね。

遺族厚生年金の受給額は、実は計算がめちゃくちゃ複雑です。一般人がさらっと言えるような内容でないです。とはいえ、詳しい受給額は年金事務所に問い合わせてねっていうのもいまいちなんで、簡単な計算法を伝授します。

この4つの数字を使えば概算できます。
①今までの平均年収
②勤続年数25年未満の人は25年
③0.005481 ※係数です。意味はないのでそのまま覚えてください。
④0.75(4分の3)

この四つの数字です。例えば、22歳で入社、現在32歳、この10年間での平均年収が400万円だった人は、400万円×25年×0.005481×0.75=411,075円、つまりこれが年額41万になります。これが遺族厚生年金の受給額です。ちなみに遺族厚生年金には子がいなくなり遺族基礎年金がもらえなくなった人のために中高齢寡婦加算40歳から64歳の子のいない妻に支給、年額58万3400円といった上乗せ制度もあります。

結局のところ、遺族基礎年金と遺族厚生年金、トータルの受給額は一体幾らになるのってことが知りたい人は、手っ取り早く早見表みるのもありです。基礎知識をしっかり学んだ後に見ると理解度が全然違うはずです。例えば夫が亡くなった場合、自営業者なら年額0から約130万円、会社員公務員なら年額約40万円から約200万円、受け取り額は職業や家族構成、年齢等によってだいぶ変わってきます。自分の場合はどうか、ぜひ確認してみてください。

最後に、遺族厚生年金の注意点を列挙しておきます。
・遺族厚生年金は基本は一生涯もらえる終身年金ですが、妻が30歳未満の場合は5年間の有期年金になります。この年齢ならまだまだ自分で働ける可能性が高いってみなされるわけですね。
・受給の優先順位は1、配偶者と子に父母、35、4、祖父母です。当然亡くなった人によって養われていたことが前提です。
・年収が継続して850万円以上ある人は受け取れません。

これが注意点なりますね。以上で遺族年金の基礎についてはおしまいです。これだけ理解しておけば必要最低限の知識としては十分です。基本用語を押さえておけばいざとなったら自分で調べられますからね、聞いたこともないよ、何それっていう状態と、なんとなく聞いたことがあるぞ、その気になれば調べられるって、この二つの差は果てしなく大きいってことです。

実践編

以上を踏まえて最後に実践をやっておきましょう。遺族年金の存在を前提に、何を考えて民間生命保険の金額を決めるべきかということですね。

例えば3人家族、夫妻子供1人で年収約400万円の会社員の夫が亡くなった場合、遺族年金の受給額は子供がいる間、月額約13万円、子供が大人になった後、月額約9.5万円。ざっくりこんな感じになります。これを聞いてこれじゃ全然生きていけないよって思う人が大半でしょう。残された家族の人生設計、一体どう考えればいいのか、順番に見ていきましょう。

①住居は持ち家か賃貸か

住居は持ち家か、それとも賃貸か、持ち家の場合は住宅ローンを組むときに団体信用生命保険に加入しているはずです。これに加入しておくと住宅ローンの契約者が亡くなった場合、残ったローンがチャラになります。住宅ローンという借金を背負った人の頼もしい味方ですね、持ち家がある人、そして生活費が平均並みの人は遺族年金、その他プラスアルファ貯金ですね。これだけで十分生活できる可能性があるのでかなりアドバンテージがあります。

②残された人の人的資本はいくらか

次に考えるべきは残された人が月いくら稼げるのか、実は遺族は税制面でかなり優遇されています。遺族年金は全額非課税、所得税住民税など全ての税金が一切かかりません。寡婦控除27万円。子のいない未亡人は27万円までは稼いでも非課税です。1人親控除35万円、子のいる1人親は35万円までは稼いでも非課税です。

例えば未亡人のマダムが年間約320万円の手取り収入があるのに一切税金がかかっていなかったりします。なぜなら次の控除をフル活用しているからです。基礎控除48万円、家内労働者等の必要経費の特例55万円、これは一定の条件を満たす内職者等に対して55万円の控除を認める特例です。青色申告特別控除65万円、これは事業所得を65万円減らせます。意外と知られていませんが、家内労働者の特例とダブルで使えます。それから寡婦控除27万円、合計で195万円です。つまりこの金額までなら稼いでも税金が一切かからないんです。

このマダムは内職自分のスモールビジネスで年間約195万円の収入があって、それとは別に年間約120万円強の遺族年金があります。合わせて手取り約320万円、サラリーマンならば額面年収400万円に匹敵する金額です。この方の家庭では団体信用生命保険のおかげで住宅費がほとんどかかっていません。それでいて額面年収400万円の暮らしができるわけですからかなり余裕があることがわかりますね。結局、税制についてちゃんと知っている会社に頼らず1人で稼ぐスキルを持っている、こういう人はもし一家の大黒柱に何かがあっても、子供と離れずに家の中で仕事をやって生きていけるってことです。もちろんどこかの会社に就職するってのもありですが、会社に就職できなくてもしなくても、内職やスモールビジネスで非課税で稼ぐ道がある、こういう選択肢については子供のために知っておいてもいいかなと思います。

③民間生命保険をいくらにすべきか

以上見てきたように遺族年金の受給額と現在の貯金額をベースにしつつ、持ち家かどうか、団体信用保険ですね。そして残された家族の人的資本、働いて稼ぐ力はどれぐらいか、これらの要素を踏まえて、結局民間生命保険を幾ら分プラスする必要があるか、これを考えていくわけですね。

個人的なアドバイスとしては、自分の生前レベル、生前より贅沢な暮らしを想定した保険金は不要、ある程度は仕事をする前提で計算した方がいい、教育費、高校や大学の進学費用だけは最優先で確保すべきということですね。なぜなら多額の保険金がかえって残された家族の人生を台無しにしてしまうリスクがあるからです。

ある程度のお金を残すことは必要ですが、家族が自分で生きていく力を失わないように配慮すること、これが重要なのかなと思います。お金を残しすぎると受け取った人が自力で生きる力を失いやすいんですよね。家族に残すべきはお金なのか、それとも生きる知恵なのか、もしくは家族間の絆なのか。何が一番重要なのかよく考えたいですね。僕自身は最低限のお金と生きる知恵と家族の思いでバランスよく残してあげたいなと思っています。

よくあるQ&A

最後によくある質問に回答して終わりにします。

質問①:私は自営業者なので、厚めの生命保険が必要ですよね。

これに対しての回答はその通りです。今日見てきた通り自営業者には遺族厚生年金がありません。遺族厚生年金は一生涯もらえる終身年金だし、平均年収を前提にするとミニマムでも年額40万円から50万円ぐらいあるし、40歳から64歳の子のいない妻にも、中高齢寡婦加算、年額約60万円があります。

つまり自営業者の人は年額約100万円相当の保証民間生命保険でつけて、ようやく会社員や公務員と同じレベルの保障になるってことです。このぐらいは最低限民間保険で手当しておきましょう。

質問②:終身保険ってどうなの?

これに対しての回答は、掛け捨てをおすすめします。理由は二つ。一つ目、少ないコストで大きな保障が得られるから二つ目、必要な保障額は減っていくのが普通だから、この二つの理由ですね。理由二つ目の必要な保障額は減っていくのが普通だからについて補足します。生命保険は人的資本、つまり働いて稼ぐ力のロスに備える保険です。

これから死ぬまでの間に3億円稼ぐ人と、これから死ぬまでの間に1000万円稼ぐ人。前者の方、3億円稼ぐ人の方がかける保険金額を大きくするのが当然ですよね。年齢を重ねれば重ねるほど、そこから定年、例えば60歳までに稼げる総額は減っていきます。これに合わせて生命保険金額も減らしていくのが合理的なんですね。自分の人的資本が減っていくのに、終身で保険をかける必要性は薄いってわけです。資産形成が進むと財産が増えて保険の必要性がますます下がっていきますしね。

まとめ

今回は遺族年金について解説しました。

遺族年金は要するに公的な生命保険、公的年金に加入している人がもらえる遺族年金には遺族基礎年金と遺族厚生年金がある。

遺族基礎年金は約80万円+子の加算、子の加算というのは第2子まで1人約20万円、遺族厚生年金は平均年収×加入年数×0.005481×0.75で概算できる。結局受給額の目安は、自営業者なら年額0から約130万円。会社員公務員なら年額約40万円から約200万円、職業や家族構成、年齢によって受給額はかなり変わります。自分が死んだら残された家族はいくらもらえるのか、これを機会に必ず押さえておきましょう。

遺族年金の金額や現在の貯金額、生活水準を睨みつつ、住居は持ち家か賃貸か。残された人の人的資本はどれぐらいか、このあたりを検討して不足分を民間生命保険で補いましょう、なんとなくの不安、なんとなくの金額で民間生命保険に入ってた。こういう人が保険について考え直すきっかけにしてくれたら嬉しいです。

またここまで読んでみて、自分自身の家庭の状況的に適切な保険が分からないって方は下のリンクから保険の無料相談が出来ますので利用してみて下さい。

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